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アスリートと地域社会を繋げることで、静岡を豊かで活気あふれる、働きがいのある街にする。 アスリートと地域社会を繋げることで、静岡..
PURPOSE of members
わたしが想うPURPOSEとは。
掲載日:2024.2.29
最終更新日:2024.4.19
山本大輔
DAISUKE YAMAMOTO | 経営企画部・主任 / HR執行役員
アスリートと地域社会を繋げることで、静岡を豊かで活気あふれる、働きがいのある街にする。
アスリートと地域社会はもっと繋がらないといけない

Ath-upではアスリートのキャリア支援をしています。メインとなるのは「就職のサポート」と「企業とのマッチング」です。引退した後の就職先の紹介、ないしは現役生活と並行しながら働ける企業の紹介をさせていただいています。

実は、アスリートは20代から30代で引退する人が大半を占めます。つまり、引退した後の人生の方が長いわけです。しかしながら、プロアスリートから身を引いて就職した後にやりがいを失ってしまったり、働きがいを持てない、収入的に苦しくなるという方がとても多く、社会問題化しています。

正しいマッチングができない、就職までのサポートを得られないことによって、日本が人材難であるにも関わらずポテンシャルの高い人材がホコリを被ってしまっている状況といっても過言ではありません。

実際に私も企業に紹介し、元アスリートの就職が決まる過程で、課題解決能力やコミュニケーション能力、粘り強さなどを評価していただける現場を見ています。それだけに、元アスリートの多くが埋もれてしまうことをもったいなく感じます。

今の日本は少子高齢化で労働人口が不足しており、特に地方では若くて元気な人材が減少しています。それはお話しさせていただく企業様も同様の課題を抱えていらっしゃることを実感しています。

アスリートは一つのことを極めることができたポテンシャルの高い人材なのですが、引退後にビジネスの現場との良い接続ができていません。そうした人材と、人材不足に悩む企業がうまく繋がれば日本の企業がこれからもう一度元気になるための活力になると信じています。

「とてもいい企業なのにネームバリューは強くない」企業にとってアスリート人材は起爆剤になるのではないか、というのは事業を始めて気づいた大きな可能性ですね。

毎年、何百人もがプロの世界に足を踏み入れます。でも、当然引退していく人もいる。この引退していく人たちが社会と繋がっていかないと、スポーツと社会はどんどん切り離されていってしまうのではないかと思います。

引退後に社会から孤立していく人材を見てしまうと、これからスポーツ業界を目指す人が減ってしまったり、スポーツそのものの価値がこれ以上高まらなくなる。スポーツ業界を持続可能にするためにも、スポーツではないフィールドでもアスリート人材が輝けるということを証明していきたいですね。

Ath-upは元アスリートにとっての代理人のような存在に

また、企業とのマッチングの他にも就職までのプロセスの手前として、NEVEROVERというWEBメディア、そしてキャリアセミナーやトレーニングなども実施しています。

NEVEROVERはアスリートのキャリアやその後の生活に焦点を当てた記事を掲載しています。キャリアセミナーはアスリートにキャリアを考えるきっかけを提供したり、就業経験のない方にはスキルの講習会などをしています。

元アスリートとしての資質を評価してもらえる機会は多いのですが、「PCのスキルがない」や「社会人経験の少なさ」によって企業からの評価がマイナスになってしまうことも多いのでそれらを最低限補うことも大事だと思っています。

事業立ち上げからX年で、これまで200名ほどのアスリート人材の方々とコンタクトさせていただきましたが、徐々にこれらの仕事も実り、理想的な事例も出てきたのかなと思います。

私の印象に残っているエピソードとしては、「ほとんどビジネススキルがなかったにもかかわらず静岡の中では大手である企業の営業職として就職した」という方です。引退した後、わずかな期間に企業でも働いていたのですが、転職にあたってサポートさせていただきました。志望動機を自身で深掘りできる機会を作ったり、面接のシミュレーションなどで経験値を積んでいただきました。

結果として、スキルや経験を上回ってアスリートとしてのポテンシャルを評価していただき転職となりました。年収も2倍ほどになって、その方に合う職場にも繋がりとても感謝していただきました。

もう1名はデュアルキャリアの実現です。指導者と企業を両立したいという方がいらっしゃいましたが、なかなかその融通が効く企業をご自身では見つけられなかったようでした。

そこで私たちが企業との交渉も行いながら「夕方まで勤務で、夜はサッカーの指導」という働き方をコーディネートすることができました。これも非常に喜んでいただけて嬉しかったです。

アスリート人材のマッチングという仕事は、人材業界の中では難易度の高いものではないかと思っています。求職者に社会人経験が少ないと、なかなか向いている仕事もわからない。何をやりたいのかが不明確なケースもある。

ずっとスポーツに打ち込んで結果を残すことを考えてきたわけですから。価値観の深掘りを手伝ったり、その人の適性を見極めたりといった作業から入って、仕事内容を丁寧に説明したり、と時間もかかります。

「紹介して就職が決まった」だけでは求職者も企業も成功とは呼べない仕事なので難しさはあるのですが、良い仕事ができた時のやりがいや手触り感もたまらないものがありますね。

難しいチャレンジですが、Ath-upは引退後のキャリアの”代理人”のような存在でありたいなと思っているんです。「ちゃんと稼いだ方がいいよ」とか「現役時からビジネスを勉強するべきだよ」などと言ってこちらから危機感を煽るのではなく、その人がサポートを必要とするときやヒントが見つからないときに、必要なものを提供できるようにしたいなと思っています。

キャリアは生活する上で、とても大事な生命線です。現役選手の時は代理人が、選手としてのキャリアに寄り添ってくれることもありますが、引退したらその存在もなくなる。だからAth-upのような存在が必要だと思っているんです。

身近にプロアスリートがいるからこそ生まれた問題意識

私自身、学生時代はサッカーをやっていて筑波大学のサッカー部に所属していたこともあり、同級生には何人かプロになった選手がいました。弟もプロバスケット選手をやっていたり、私にとってプロアスリートは身近な存在です。

前職でも現役選手のマネジメントを行っていましたが、彼らのセカンドキャリアについての課題、問題意識は日を増すごとに強くなりました。

次のキャリアの選択によっては、客観的には大失敗に見えてしまうこともある。自分がこの課題に対して手助けできる存在になりたいと強く思ったんです。

フジ物産としても、山﨑社長もこの社会問題に対してしっかり取り組んでいきたいという想いを持っていました。会社として複数のチームをスポンサーする中で選手との接点を持ちますが、アスリートの戦力外通告などの現実、「その後」を見ていくと社会的にも取り組む価値があると思ったんです。

キャリアの話とは少し変わりますが、フジ物産は商社です。海産物を卸したり、鰻に関わる事業を行っていたりします。栄養満点な鰻をアスリートに提供することができるし、スポーツを見ながら食べる食事も提供していける。

このスポーツと既存事業とのシナジーは社内全体でも高められればなと思っています。スポーツの力でもっと他の業界を盛り上げる、他の業界をスポーツで盛り上げることができると思っています。

スポーツ✖️人材紹介で社会とつながる仕事を

Ath-upが社会に価値を発揮し問題を解決できるようになることは、とても意義のあることだと思っています。スポーツ業界が持続可能なエコシステムであるためには、あと2ピース足りないと思っていて、その一つが引退後のキャリアで、2つめがスポーツにお金が落ちるようにすることです。

後者に関して言えば、大谷選手や三苫選手、久保選手、八村選手など世界でもメジャーなスポーツで活躍するトップ選手が増えてきました。育成面などの文化は整ってきていると思います。

あとは引退後にアスリートを社会と一番パフォーマンスが出る形で繋げていく。そうすることで、スポーツに落ちるお金も増えると思うんですよね。

例えば、職場に元エスパルスの選手が入ってきたら、自然な形でもっとエスパルスを応援しようとなる可能性が高い。間違いなくこれまでよりスポーツを身近に感じることになると思います。

Ath-upでの仕事は確かに難しさもあります。ただ、本当に手触り感を持って目の前の人の人生を豊かにできると思いますし、その先には社会問題の解決があって、スポーツ業界を盛り上げることに繋がっています。

その段階が10だとしたら、今はまだ1とか2のレベル。大事なのは一人ひとり目の前のアスリートに愚直に向き合うこと、そして多くの人にAth-upを知ってもらうことだと思っています。

スポーツ業界やセカンドキャリアの問題に興味関心がある方にはぜひ入っていただいて、一緒に進めていきたいと思います。