私は、飲食事業開発部で部長を務めています。飲食事業開発部では、高知で「鰻HASHIMOTO」という鰻屋さんを運営しています。今は、この味と鰻のすばらしさを広げるために弟子を増やして、確実に美味しい店舗を増やしていこうとしています。その他にも、鰻を使ったペットフードの開発なども進めています。
もともと私は静岡出身なのですが、高知に来てもう7年になります。前職では住宅営業やリフォー ムの営業をやっていました。他にも新卒採用担当なども経験しながら合計10年ほど勤めました。
しかし、体育会系の営業会社でしたので、給料は良かったのですが、私のやりたい仕事のスタイルとは合っていないと入社初日から感じておりました。30代になり私はずっとこの仕事を続けていくのか?と自問自答した上で「違う会社も知りたい」と思い、転職することを決めました。
建築士の資格も持っていたので、建築系の仕事ができればいいなと思っていたのですが、なかなか⾒つからず。そんな折にフジ物産をエージェントから紹介してもらい、⾯接を受けました。「フレンドリーかつフラットで良い会社だな」と思った記憶があります。
いきなり社長面接だったのですが、そこには社長だけでなく専務や当時の高知支店長もいて、歓迎されていることを感じました。面接の雰囲気も和気あいあいとしていて、働くのが楽しい職場なんじゃないかと思えました。
最初は営業職として食品部に配属され、その後に高知へ転勤となりました。ちょうどその時は弊社が新たに手がけた「鰻と和食の創作料理店」がオープンしたばかりのタイミングだったこともあり、新しいことにチャレンジすることにワクワクしていました。今も、どんどん鰻について新しいチャレンジをしているところです。
私自身、学生時代はサッカーをやっていて筑波大学のサッカー部に所属していたこともあり、同級生には何人かプロになった選手がいました。弟もプロバスケット選手をやっていたり、私にとってプロアスリートは身近な存在です。前職でも現役選手のマネジメントを行っていましたが、彼らのセカンドキャリアについての課題、問題意識は日を増すごとに強くなりました。
次のキャリアの選択によっては、客観的には大失敗に見えてしまうこともある。自分がこの課題に対して手助けできる存在になりたいと強く思ったんです。
フジ物産としても、山﨑社長もこの社会問題に対してしっかり取り組んでいきたいという想いを持っていました。会社として複数のチームをスポンサーする中で選手との接点を持ちますが、アスリートの戦力外通告などの現実、その後を見ていくと社会的にも取り組む価値があると思ったんです。
キャリアの話とは少し変わりますが、フジ物産は商社です。海産物を卸したり、鰻に関わる事業を行っていたりします。栄養満点な鰻をアスリートに提供することができるし、スポーツを見ながら食べる食事も提供していける。
このスポーツと既存事業とのシナジーは社内全体でも高められればなと思っています。スポーツの力でもっと他の業界を盛り上げる、他の業界をスポーツで盛り上げることができると思っています。
飲食事業開発部では、パーパスとして、「世界中の人々に期待を超える体験を提供し、元気いっぱいになってもらう!」を掲げています。今までの経験やこれからのことを想像した時に、日本だけではなく私たちの鰻の価値を世界に広めていきたい。また、食べるという体験だけではなくて、接客やしつらえなどの全体的なおもてなしも含めて「期待を超える体験」を提供していきたいと思っています。
鰻には本当に多くの栄養が入っているので、たくさん食べていただいて、笑顔になっていただけたらなと思っています。「鰻を食べて感動する」という体験をしてもらいたいです。
鰻は絶滅危惧種でもあるので、もっと大切に扱って、そのうえで利益も出すということをやっていきたいです。正直なところ、世の中には「⼤切にされていない出回り⽅」をされている鰻も⾒受けられます。だからこそ、⼤切に、丁寧に美味しく調理された鰻の味を世界に広めていく事が私たちのやるべき事だと思ってます。
海外進出にはあと4、5年ほどの時間をかけて取り組んでいきたいと思っています。そのためにもまずは、東京でお店を出して弟子の募集もするつもりです。鰻HASHIMOTOの一番弟子も、すでに一人でお客様に鰻を出せる段階まできています。そのノウハウを活かして東京でも弟子を育て、海外に進出という計画です。
東京はもちろん鰻の激戦区なのですが、私たちが提供する蒸しを入れない「地焼き」の鰻は、関東の「蒸し鰻」とは味わいも食感も全然違います。東京から⾼知に出張や観光でお越し頂くお客様からも「こんな鰻は初体験でめちゃくちゃ美味しい!東京にも是非出店して欲しい」と喜んでいただいているので 、出店に向けて動いております。
ポイントは、味と技、そしておもてなしをしっかりと継承してくれる弟子を育てていくことかなと思います。やたら無闇に増やすのではなく、着実に美味しいものを増やしていきたいなと思います。
時間はかかりますが、きちんと品質が⾼いものを出せるレベルになってから新規出店させていくのが、フジ物産のこだわりです。
そのために、「鰻⼤学」という弟⼦育成のシステムも稼働中です。私たちは、⾼知で鰻の加⼯場も運営しており、一日に何百匹もの鰻を捌ける機会があります。
まずは数をこなして体に覚えてもらう事がとても重要です。通常の鰻屋では考えられないほど早く成長する事が出来ます。串打ちと焼きについては、鰻一筋三十余年の橋本鰻長が丁寧に教育します。
まずは捌き、その後に串打ちと焼きを経験していくという技術面でのコースと、お店の運営知識や接客技術を身に付けるコースの二本立てのカリキュラムを組んでおります。卒業後は直営店の店長又は、独立の選択が可能な制度です。
また、私たちはミッションとして「絶滅危惧IB種のニホンウナギや様々なこだわり食材を余すことなく、チャレンジングでワクワクする“悦び”に変身させ、一歩先行くおもてなしを提供する。」ということも掲げています。
鰻を余すことなく使うためにも、鰻を使ったペットフードを開発しています。従来であれば廃棄されてしまう鰻の頭や骨を使ったペットフードです。我が家の犬は好き嫌いが激しい犬なんですが、鰻を使ったペットフードには食いつきがかなり良いです(笑)
他の社員のワンちゃんも、怪我をしてストレスを抱えてしまいご飯があまり食べられていなかったけれど、鰻なら食べてくれたというフィードバックをもらえました。フードロスにも貢献できますし、売り上げの⼀部をペット業界への貢献として寄付することも考えています。
鰻はお客様に満足していただけて、ペットフードもワンちゃんに喜んでもらえていますが、やるべきことはもっとたくさんあります。一つは店舗での接客のクオリティを更に上げること。もちろん飲食店なので料理のクオリティは大事です。でもお客様とのコミュニケーションもそれに劣らず大事だなと思っていて。せっかくカウンターに座ってもらったのに、一言も喋らずに帰るのはもったいない。
例えば入店時にいらっしゃいませだけではなく、「旅行でお越しですか?」とか「高知の方ですか?」とお声がけするとお客様からもスタッフに話しかけやすくなると思います。話題はおすすめの旅行先でも良いし、鰻についてのさらなる知識なども話せたら満足度も上がって、お店もより良くなっていきます。
今はまだ私が主導しておりますが、スタッフ同⼠でもこのコミュニケーションを深められ るといいなと思います。
こういった課題や、鰻の商品開発、ペットフードの販路の拡大など、全体をマネジメントやプロデュースしてチャレンジできる人材が増えると、私たちのパーパスもより実現に近づくと思っています。