私は2018年にフジ物産に入社をして、様々な部署を経験し、今はエネルギー事業部の部長をさせていただいています。エネルギー事業部は石油関連商品の販売、太陽光発電所の建設や売電、ガソリンスタンドの運営などエネルギーに関わる領域で幅広く事業展開しています。
事業部のパーパスとして掲げているのは、「エネルギー・モビリティ・コミュニティを通じて、持続可能な社会を目指し、未来の子どもたち、みーんなを笑顔にする!」です。
世界的に脱炭素やカーボンニュートラルの重要性が言及されており、これからの地球環境のために人類が実現しないといけないものだと思っています。
フジ物産としては、エネルギー・モビリティ・コミュニティという3つのキーワードを通じて持続可能な社会を目指し、次世代を笑顔にしていきたいと考えています。
この3つのキーワードがフジ物産にとってどのような意味を持つのか、事業部でも活発的に議論を重ねてきました。
エネルギーについては、再生可能エネルギーである太陽光発電の普及を進めていくこと、そして太陽光発電以外の省エネ商材の開発や販売を促進していくことを事業部として取り組むべきだと考えています。
モビリティについては、「安心安全で快適な移動を実現する」というのはもちろんのこと、環境に配慮した移動をどう実現していくのかを考え実行に移さないといけません。そして、最後のコミュニティは、地域住民の方々とともにエネルギーリテラシーを高めていき、持続可能なまちづくりをしていくことです。
エネルギーリテラシーとは、生活に欠かせない存在であるエネルギーにまつわる様々な問題を「どう見るか」ということです。
例えば、世の中には電気をつけっぱなしにしないとか車の乗り方を変えてみるだとか、家の屋根に太陽光を設置することで環境にどれだけのインパクトがあるかといった情報が溢れています。こういった知識や情報に関心を持ち、そのうえで正しいものを選択して実行していくことが重要です。
実はこういった小さな工夫が脱炭素化、CO2削減に繋がっているということを地域住民の方々と一緒に学び、エネルギーについて身近に感じてもらうことで、エネルギーの観点からまちづくりに繋げたいと思います。
「地域の繁栄無くして会社の繁栄なし」というのはフジ物産の企業理念としても大事にしていますし、当社の強みだとも考えているので、積極的に取り組んでいきたいですね。
実はフジ物産の創業のきっかけは石油製品であり、エネルギーがルーツにある会社といえます。フジ物産の柱となりつつある太陽光発電事業は、私の実父である相談役が立ち上げ当時から先導して展開してきました。
創業者と父、そして会社が脈々と続けてきたものを自分も受け継いでいく姿を、父や亡くなった創業者にも楽しみに見ていてもらいたいなと思っています。
そもそも最初は、フジ物産に入社する予定はありませんでした。父からも、「フジ物産の創業一族であるということは関係なく自分の人生を自分で歩むべきだ」と言われていましたし、私もそのつもりで食品業界の企業に就職しました。
2015年頃から社長にお声がけいただき、年に1度ほどの頻度で食事にいくようになりました。その中で、徐々にフジ物産に興味を持つようになったんです。これまでは見えていなかった会社のいいところ、パワーや魅力が見えてくるようになりました。
フジ物産に入社してからは、まずは新エネルギー・不動産部(現・エネルギー事業部)に配属となりました。そこでは自社所有の太陽光発電所の建設や売電事業、投資家の方へ向けた発電所の販売を行っていました。
その次は海上部で、遠洋マグロ魚船向けに餌料や船食(船員の食事)の販売や、それらを船へ載せる積込作業など、現場の仕事を中心に経験させていただきました。また、マグロ業界が抱える「船員の人材不足」という課題を解決するために、船のオーナーを集めた会議「ツナサミット」を初めて開催したりしました。
その次は高知支店に行き、鰻のことを基礎から学びました。ここから一度別の部署を挟むのですが、その後また高知に行き、そしてエネルギー事業部に戻ってきました。
本当に綺麗ごとじゃなく、どの部署もおもしろくてやりがいがあって、そして全てに学びがありました。お客様も違えば、扱う商品も違います。例えば太陽光発電に関しては、発電所建設のための土地を見つけてから完成・稼働するまでに最低でも1年、長いものだと3年以上かかります。
非常に複雑でやりがいのあるプロセスを経て完成するため、最終的な達成感はすごいものです。
海上部はお客様との距離感が近くて、信頼関係が非常に濃い。同じ方向を向いて、一緒に課題に取り組む中でそういった関係が作られるという体験を得ることができました。
これまでの経験の中でも私の中の鍵になっているのは、高知で鰻の養鰻場の業務改善を行なったことと、海外販売にチャレンジしたことです。
鰻を食べることは好きでしたが、育てることについては知識がない状態でした。現場の方に教えていただいたり、さまざまな養鰻場を見学させていただいたり、社員の声を聞いたりしながら勉強して、課題に取り組んできました。この取り組みを「次世代型の養鰻場の実現」として定義づけていましたが、少しずつ形になっています。
結果として出てくるのは「数字」ですが、その背景には人の想いがあるんです。なぜこの数字なのか、その中身を知るためにはやっぱり現場に入り込んで、どういう想いでどのような仕事をしているのかを知る必要があります。
人や想いを知ることは数字を改善するためにも必要で、ビジネスと人のつながりを感じる価値のある体験でした。エネルギー事業部に戻ってきてからも、そのことは大切にしています。
今の私のミッションはエネルギー事業部を次の段階にもっていくことかなと思っています。その中で今はガソリンスタンドの改善に取り組んでいます。
昔は燃料を売ればそれで問題なかったのですが、もう燃料で稼ぐ時代ではなくなってしまいました。実際に、燃料の販売が伸び悩んだことで撤退してしまうガソリンスタンドも増えているかと思います。
ガソリンスタンドでも実際に現場で働いてみて、一緒に働く社員ともコミュニケーションをとってきました。そこにいる社員がどういう想いで働いているかを知れば知るほど、「このガソリンスタンドは今後も続けていかなけれなならない」と強く感じました。
ガソリンスタンドという存在を再定義して、「車に関する場所」であることに囚われずに、お客様に満足していただける価値を提供するサービスステーションを目指して挑戦をしていきたいと思います。
こう考えると自分のモチベーションはやっぱり「社員の想い」なのかなと思っています。社員がどんな想いで働いているかを身近で知り、一緒にいい方向に持っていくことにモチベーションを感じます。
今のエネルギー事業部は本当に過渡期にあります。ガソリンスタンドの改善以外にも、例えば100%再生可能エネルギー由来の電気を他の企業様に販売したり、自分たちでも使っていきたい。
また、新しく「エネルギーのコンサルタント」という役割を社内に持つことにしました。フジ物産の中で「点」として確立してきたエネルギー商材を、組み合わせて「線」にすることで個人や企業に対してエネルギーの悩みを解決していくというミッションを持っています。
当然、フジ物産だけが頑張っても日本の、ひいては世界のエネルギーの未来に大きなインパクトを残せるかどうかはわかりません。でも、自分たちが周りを巻き込みながら動いて、できることをやっていくのが何よりも大切です。
事業部内に新しいチームもできて、これから動き出していきます。まだまだ自分もどう動いていくのが「正解」なのかは見えていません。ただ新しいことをやるときには正解があるとは限りませんから、メンバーとコミュニケーションを取りながら突破口のヒントを議論して拾い集めて、最終的なパーパスまで繋げていくつもりです。
そのためにも、誰もが自由に発言できる環境を整えたり、みなさんに期待することを伝えていきます。